十一本目  暇乞(いとまごい)

[意義]

暇乞は上意打とも言われ、主命を帯びて使者に立ち、 相互に挨拶をする礼の体勢より抜き打ちにする業前である。 彼我の挨拶の際、相手に機先を制して行う刀法である。 三本がある。

[動作]

(一本目)
(イ)
正面に向かって正座する。
(ロ)
僅かに頭を下げて礼をする。
(ハ)
礼をする間もなく、うつむいたままで素早く両爪先を立てて刀を抜く。
(ニ)
上体を起しつつ左肩側に刀先を突込むようにして諸手上段に振りかぶる。
(ホ)
膝を乗り出しつつ真向に斬り下ろす。
(ヘ)
刀を右に開いて血振るいする。
(ト)
刀を納めつつ踵の上に臀部を下ろし、爪先を元に復して納刀を終わる。

(ニ本目)
正面に向かって対座し、(正座)両手を前につき頭をやや深く下げて礼をなし、 機をみて刀を抜きとり動作すること前の業と同様である。

(三本目)
正面に向かって正座し、両手を前につき額が床板に着く程に、 深く上体を下げて礼をなし、機をみて抜刀動作すること前の業と同様である。