一本目  霞(かすみ)

[意義]

我が正面に対座する相手の機先を制して、その首に斬り付けたが 不十分であったので、直ちに我が身体を進ませながら斬り返し、 更に上段より斬り下ろしてたおす業である。

[動作]

(イ)
正面に向かい立膝に座す。
(ロ)
気の満ちた時左手で鯉口をとり、母指で鯉口を切ると共に右手を柄にかけ刀を抜き始める。
(ハ)
爪立ちはじめ、腰が軽く伸びきるや右足を踏み出して抜き払い、相手の首に横一文字に抜き付ける。
(ニ)
相手の首に横一文字に抜き付け、右斜前方に斬り放った手の止まらぬ間に、 身体を進ませながら右拳を返して更に左方に斬り返す。
(ホ)
十分左方に斬り返した後、体の左方より上段に振りかぶり、右足を進めて斬り下ろす。
(ヘ)
刀を右に開いて血振るいをすると同時に左手を腰にとる。
(ト)
直ちに鯉口を握り、刀を一挙に三分の二を納刀し、続いて三分の一を徐々に納刀しつつ、 右足を左足に退き寄せて左踵の上にとり、臀部を下ろして納め終り、徐々に立ち上がり直立の姿勢となり、 元の位置に至り次の業に移る。