二本目  虎一足(とらいっそく)

[意義]

我が正面に対座する相手が、我が右足に右外側より薙ぎ斬って来たのを、 直ちに強く受け払い、退かんとするを機を逸せず上段より斬り下ろしてたおす業前である。

[動作]

(イ)
我は正面に対し立膝に座す。
(ロ)
相手の害意を察知して、左右の手を刀にかけて抜きかけつつ立ち上がる。
(ハ)
相手が我が右足に薙ぎつけて来たので、我は左足を大きく後方に退きつつ、 右斜前に殆ど刀を抜き、腰を左方に捻ると同時に刀を抜き払って、 刀の差し表で相手の刀を受け止め(受け払う心持)脛を囲う。
(ニ)
この時、我が左足先の方向は正面に対し左方に九十度を越えないこと。
(ホ)
腰をよく落し、体は少々左方向の居合腰であり、右膝を伸びきらないこと。
(ヘ)
直ちに左膝を跪くと同時に、諸手上段に振りかぶり真向に斬り下ろす。
(ト)
右に刀を開いて血振るいし納刀すること「横雲」と同様である。