六本目  岩波(いわなみ)

[意義]

横列に座っている時、我が左隣の相手の害意を察知して機先を制し、 直ちに左方に向かい、相手の右胸部を刺突して横に引き倒し、 更に上段より相手の胴中に斬り下ろす業前である。

[動作]

(イ)
正面に対し右向に立膝に座す。
(ロ)
刀を前に刃を上方にして抜きかけつつ低腰に立ち上がり、左足を半歩後方に退く。
(ハ)
刀先が鯉口の食指まで抜き出た時、(刀は水平に抜く)右足を軸として左に回りつつ、 刀先を左手母指と食指にて挾むようにして右膝の外側にとる。同時に、左に回りながら左足先を 右足の踵の辺りに添わすように運ぶ。右手と左腕は軽く伸ばして右手は柄を、 左手母指と食指の基部で刀の帽子を前に出すように挾み構える。左手の外の指は軽く伸ばして、 手の甲を右膝の外側に軽く接し構える。
(ニ)
右膝を少し伸ばして体の反動をつけ、左膝を床につけると同時に右足を少し踏み込み、(左膝の右側に) 左手を軽く開いて刀の棟に添え、相手の胸元を突き上げるように突き通す。この時刀は、 左手が刀の中央よりやや腰棟に近い所までくるように突き出す。突き出した右拳は、右膝の外方膝頭よりやや前方とする。
(ホ)
左膝頭にて右に回り、右足を正面より右に(九十度位)踏み開くや、相手の体を右横に引き倒す。(目付は相手の眼とする)
(ヘ)
左手で刀を右斜後方にはね返し、左手を柄にかけ、諸手を軽く突き出して構える。
(ト)
右足を中心として後方に左膝を退き、正面に向きながら諸手上段となり相手の胴中に斬り下ろす。
(チ)
横に血振るいし、納刀すること前の業前と同様である。