修練に対する心構

正座の業前は、もともと大森流居合道技法として伝承され たものを斯道に取り入れたものである。即ち第十七代宗家大 江正路先生が、無雙直伝英信流の業前の種目を整備するに当 り、正座之部として組み立てられ、その名称も現在のように 呼称されたものである。この立膝之部の業前ほ、昔時より英 信流伝承のものであり、然も英信流としての其の基本技法で もある。即ら斯道は、元来武士が、具足をつけての座居であ る立膝の座り方を基本として創案された、いろいろな方技の 基礎技法ともいうべきものであって、このような点より修練 について考えてみると、奥居合と変わらぬ座居とはいえ、個 々の方技は正座の業と同様、基本的に確実に実施すべきであ る。また、相手に対する観念としても、一人対一人の理念が 多い故に、正座のように足音を立てて気剣体の一致を図って もなんら差し支えないものと考えられる。正座の業前と異な る点は、
(イ)総ての業前が立膝の体勢より所作するものである。
(ロ)血振るいは総て横にする血振るいである。
(ハ)正座の業前よりも少し複雑な技法となる。
(ニ)納刀と足引きは必ず一致して行う。
等であり、実施すべき心構えについては前述した正座の部 のものと同様である。