六本目  受流(うけながし)

[意義]

相手が不意に左寄りの正面(約15度乃至30度)より立居で 我が頭上に斬り付けてくるを、我が体の左側に受け流し、 相手の泳ぐところを首(首肩口辺りに)に斬り下ろしてたおす業である。

[動作]

(イ)
相手は立居で正面より斬撃して来る。我は正面に対し15度乃至30度くらい右向に座居する。
(ロ)
相手が立居で抜刀し構えたので我も爪先を立て柄をとり、右膝をついたまま左膝を立て、 左足を正面より右前に(右膝の斜前辺り、正面より直角度に)踏み出すと共に、 半ば刀を抜き身構え相手の眼を注視する。
(ハ)
相手が正面より斬り込んで来たので、我は刀を抜きながら立ち上がり、刀の差表で、 頭と左肩を覆うようにして相手の刀を受ける。柄手(右拳)は頭上より右の方に位置するようにする。
(ニ)
相手の刀を頭上にて受けるや、右足を右斜後方に内足に踏み込み、上体を左方に捩じ回して相手の 刀を受け流す。(左足は立ち上がったままの足踏みで)この時、左手は左腰に当てるか又は鯉口を 握ったままとする。
(ホ)
左足先を流れた相手の体に向くようその場にトンと踏み揃え、真向より斬り下ろす。 (この時左手の柄へのかかりは、斬り下ろしの途中で柄を握る)この時の体勢は、両膝を少し 左右に開き中腰にて、(下腹を十分前に出して)両手を十分前に伸ばして流れる相手の体(首又は肩口)に斬り下ろす。
(ヘ)
刀先を少し下げながら左足を大きく一歩退く。
(ト)
物打辺りを右膝上にとるように(刃は前下に向く)して血拭いしつつ、右拳を弛めながら 柄頭を少し左肩の方に、刀を膝上をすらし左手を軽く伸ばして血を拭う。
(チ)
右手で柄を逆手に握りかえ左手で鯉口を握り、刀先を左後に振り返して納刀しつつ 左膝をつまずくと共に納め終わる。