九本目  月影(つきかげ)

[意義]

我が右よりの正面より、立居の相手が上段にて我に斬り込まんとするを、 我は座居より相手の左内甲手(又は諸手)に斬り込み、更に後退するのを 踏み込んで真向より斬り下ろし相手をたおす業である。

[動作]

(イ)
我は正面に対し約十五度位左方に向かって座居する。
(ロ)
刀を抜きつつ、立居の相手に目付して右足を正面に踏み込み、 相手の甲手に高く抜き付ける。
(ハ)
この相手に抜き付けた時の左膝は床より少々上がる程度とする。
(ニ)
抜き付けた刀刃の方向は、立居の相手の上段の甲手に対する故、 刀刃も前上に向くようになる。
(ホ)
この時の目付は相手の眼にし、刀先を見るようなことのないこと。
(ヘ)
更に、左足を前足に継ぎ足すると同時に上段に振りかぶり、 右足を踏み込んで大きく相手の頭部に斬り込む。
(ト)
左手は腰にとり、刀は右斜上に回して右鬢にとり、 血振るいすると同時に左足を右足に引きつける。
(チ)
右足を一歩後方に退き立居のまま納刀する。