八本目 附込(つけこみ)
[意義]
自分の正面より立居で斬り込んでくる相手の刀を、一瞬一歩後退して退き外し、 素早く一撃したが不十分であったので、退る相手を直ちに追撃して(第二撃)たおし、 尚も残心し止めをさす業である。
[動作]
- (イ)
- 正面に対し我は座居、相手は立居より斬撃せんとする。 よって始動より目付は前上に相手の眼につける。
- (ロ)
- 右足を少し右斜前に踏み出し、刀を少し前下方に抜きながら 立ち上がりざま抜刀する。
- (ハ)
- 踏み出した右足を退き、左足に踏み揃えると同時に、 刀で左肩及び頭部を斜に覆うようにして相手の刀を退き外し、 我が体の前下に相手の刀先が落ちる。
- (ニ)
- 我は相手の刀を退き外すと同時に、刀先高く諸手上段に振りかぶる。 この時左右両爪先を十分に揃え立ち、瞬間体は後上方に思いきり伸び上がるようになる。
- (ホ)
- 直ちに右足左足と継足に素早く小さく踏み出して、前掛った相手の頭部に高く斬り込む。
- (ヘ)
- 一撃を与えた相手の状況を一瞬見定め、直ちに諸手上段に振りかぶりつつ、 大きく右足を踏み込んで十分に体を下げ、(居合腰低く)深く斬り下ろし左足を前足に踏み揃える。
- (ト)
- 体を落し斬り下ろした体勢のまま、右足を大きく一歩後方へ退きつつ上段に振りかぶり残心。
- (チ)
- 右膝を跪いて刀を前に静かに下ろし、(正眼となる)残心を十分にして体を静める。
- (リ)
- そのままの体勢で右手を逆手にとり、左手で鍔元を下より受けるようにして右手拳を右に返し、 刀刃を前方に向け、左手の腹で(掌内で)棟をすらせて血拭いする。この時右拳は右肩の方に十分に引く。
- (ヌ)
- 刀を振り返して納刀する。
- (ル)
- 左足を前に踏み出して立ち、右足を左足に引きつける。一歩後退して次の業に移る。